よく、英語の先生で「発音なんか気にしなくていい」と言う人がいますよね。
でも、TOEICで900点以上獲得していても、発音の問題で、英会話が通じない人も少なからずいるというのです。
しかも、日本人の英語は世界でもトップクラスに評判が悪いんだとか。
この記事では、英語学習における「発音」の重要性と、発音の習得方法について解説します。
日本人が抱えている「発音」の問題
「意味の違いに関わる音」が区別できない
英語の発音を正しく理解できていないと、様々な問題が生じます。
日本語の言語音は非常に少ないため、「L」と「R」は同じ「らりるれろ」の子音として認識されてしまいます。
そのため、「L」と「R」の区別がつけられないということはよく知られていますよね。
他にも「B」と「V」など、「意味の違いに関わる音」をうまく区別できない人が多いです。
「rice(お米)」と「lice(シラミ)」が同じ文脈で使われることはまずないと思うので、誤解が生じることは少ないと思います。
ただ、例えば
Japanese people eat rice instead of potato.(日本人はジャガイモの代わりにお米を食べます)
という文脈で、
Japanese people eat lice instead of potato.
と言われたら、英語話者は「シラミを食べる!?いや、この人日本人だからLとRが発音できないんだな……そうか、お米のことか」
と考えることになり、会話の理解にちょっとしたタイムラグが生じてしまうかもしれません。
「意味を区別する発音」が正しくできていないと、会話相手に余計な負荷をかけてしまうことになるのです。
母音と子音を分けて認識していない
「L」と「R」の区別などに関しては、昔からよく言われているので、区別して発音・理解しようと努力している人も多いと思います。
しかし、日本人が発音について抱えている問題は、他にもあると思います。
それは、母音と子音を分けて考える習慣がないということです。
例えば、
Look at this picture.
という文を、日本人は
Rukku atto disu pikuchaa
などと発音し、そして理解します。
つまり、それぞれの単語の語尾に、存在しない「u」や「o」をつけてしまうのです。
このことは、実は致命的で、おそらくほとんどの英語話者が、自分の話したことを理解してくれない事態につながると思います。
そして「存在しない母音」を語尾につけて理解することで、リスニングにも悪い影響が生じてしまうことになります。
音を「モーラ」でとらえている
日本語が「モーラ言語」であることは、あまり発音の学習に影響を及ぼしていないと思うので、ここからは余談です。
「モーラ言語」とは、日本語のように「ー(伸ばす音)」と「っ(小さい “つ” )」、「ん」を一音としてカウントする言語です。
実は「モーラ」という音の捉え方は、日本語の他には、ハワイ語など、ごく少数の言語にしか見られません。
英語話者だけでなく、中国語や韓国語を話す人も、「しんかんせん」は6音ではなく3音(音節)だととらえると思います。
余談はさておき、「日本語の音と英語の音は全然違う」ということを肝に銘じて、日本語の固定概念は取り払い、英語の土俵に乗って学習を進めることをおすすめします。
フォニックスを学ぼう
それではどのように「正しい英語の発音」を学べば良いかというと、私は断然「フォニックス」を推します。
フォニックスとは何か、フォニックスを学ぶにはどうしたら良いか見ていきましょう。
フォニックスとは
フォニックスとは、「a」は「æ」、「b」は「b」、「c」は「k」というように、母音と子音一つ一つに対応する音を学ぶ学習法です。そもそも英語圏の子どもたちが母語を学ぶ時にも、フォニックスを使って発音を教えられます。
「子どもと同じ方法なんて、大人にはムリだよ……」と思う人もいるかもしれませんが、フォニックスをきちんと学習した日本人の大人は、問題なく発音を習得できている……というのが私の印象です。
大人がフォニックスを学ぶには
大人は子どもに比べて、言語への感受性が低いということはよく知られていますよね。
特に音の感受性は、年齢を重ねることによる減衰が早いといわれています。
しかし、一方で大人は、子どもよりもはるかに高い「日本語の理解力」を持っています。
発音に限らず、この能力を有効活用するのが、大人の英語学習のカギと言えます。
フォニックスを学ぶには、口の中の形を可視化した図を見ながら、舌の動き、あるいは筋肉の動きについて理屈で学ぶ必要があると思います。
独学なら、こちらの本などがおすすめです。
また、英語コーチングサービスでも、発音を重視するスクール・コーチが急増している印象があります。
発音を教えるのが得意な英語コーチに教われば、まず間違いなくきちんとした英語の発音を習得することができると思います。
「英語コーチングって何?」と思われた方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。
まとめに替えて
この記事では「正しい発音」を学ぶことの重要性を強調してきましたが、「正しい発音」=「ネイティブに近い発音」ということでは全くありません。
「正しい発音」とは、「通じる発音」のことです。
とある英語コーチの先生は、「正しい発音は相手への思いやり」だと言っていました。
正しく発音しないと、それだけ会話の相手に負荷をかけてしまうことになります。
日本人だからこそ、相手に負担をかけることなく、相手を気づかう英語を身につけたいですね。
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