「英語脳」が身につけられたらかっこいいですよね。でも、帰国子女だったり、インターナショナルスクールに通っていたりした経歴がないと、英語脳なんて見につかない、と思ってはいませんか?
「英語脳」は、大人になってから英語学習をはじめても、問題なく身につきます。私自身にもいえることです。
この記事では、「英語脳」を身につける方法について、理屈と具体的なトレーニング法を解説します。
英語脳って何?
「英語脳」とは、「英語を英語で考えることができる状態」を表す俗語です。もちろん言語学用語ではありません。
例えば、
I went to the store and bought an apple yesterday.
という文を見て、「ああ、そういうことがあったのね」とそのまま理解できるのが、「英語脳」の持ち主といえます。
そして、反射的に和訳して考えようとしていたら、それは「英語脳」が身についていない……ということです。
でもそれは、学校でたくさん「以下の文を和訳せよ。」というトレーニングをさせられてきたことが大きいと思うんですよね。
学校教育には今後の改善を期待するとして、今を生きる大人たちに、英語脳を身につけるにはどうしたらいいかお伝えします。
英語脳を身につけるメリット・デメリット
英語脳を身につけるメリットはたくさんあります。和訳して考えるクセがあると、聞いた英文を一旦和訳して、日本語で答えを考えて、それを英訳してから答えると、会話についていけなくなってしまいます。
リスニングやリーディングでも英語の理解に遅れが生じてしまいます。この「スピード感の欠如」が、日本人が英語を苦手としている要因ともいえます。
デメリット……は、多分「ない」ですね。
英語脳を身につけるにはどうしたらいい?
まず、英語力が「衰えてきている」私の話からさせてください。
私は、昔でこそ「勉強しなくてもTOEIC900点以上取れる」「英語で学会発表できる」英語力を持っていましたが、現在の英語力は英会話スクールで基本的に「Upper-intermediate(中上級)」と判定される程度です。
オンライン英会話のレッスンを受けていても、単語が「出てこない」んですよね。後から「ああー、ああ言えば良かったんだー」とがっくりすることしきりです。
例えば、「この夏京都の名所を回るのを楽しみにしている」という意味で「look around」を連発していた私ですが、先生に「“sightseeing”という言葉があるよ」と指摘されて、「何でそれが出てこなかったんだろう!」と愕然としました。
英語力ピーク時は、脳内の「sightseeing」という単語に何度もアクセスするうちに、アクセスすることに慣れて、アクセスする労力が限りなくゼロに近くなっていたのでしょう。
それが、最近「sightseeing」という単語にほとんどアクセスしなくなって、アクセスに必要なエネルギーが非常に大きくなっていたのではないかと。
逆に言えば、このピーク時のように、「それぞれの単語や文法の知識にアクセスするエネルギーが限りなくゼロに近い」状態に持って行くこと、つまり「知識の自動化」が「英語脳」を作るカギなのではないかと思っています。
知識を自動化するにはどうすればいいかというと……戦いは数、ということです。
おすすめトレーニング法5選
知識を自動化するには、とにかく英語にたくさん触れることが重要です。
「たくさん外国人と話す」とかいう意味ではありません。
英語脳を作るには「インプット(読む・聞く)」と「アウトプット(書く・話す)」のトレーニングが必要で、これらの多くは基本的にひとりでもできます。
多読
まずは、英文をたくさん読みましょう。
「多読」の場合、読む量をこなすのが前提なので、読む文章は最初から8割ぐらい理解できる簡単なものを選びます。
この時、辞書は引きません。また、極力和訳しないようにしましょう。
そして一番大事なのが、「後ろから戻って読まない」ということです。
関係詞節を含む文は「後ろから訳せ」と教わりましたよね。
That is the girl that I met at the bank.
こういう文も、「前から読んで」ほしいんです。
「前から読むなんてできない」という人におすすめなのは、スラッシュ・リーディングです。
That is the girl / that I met / at the bank.
とスラッシュを引いて文を分けると、「あれがその女の子だ / 私が会った / 銀行で」というように、返り読みしなくても大体の意味が分かりますよね。
あとは、途中で挫折しないように、自分が興味のある題材、好きな題材を選ぶのがおすすめです。
多聴
「多聴」の時も、多読の時と同じく、最初から8割方分かる音声を用意するのがポイントです。
意味不明な音声を聞き続けても、英語力アップにはあまり効果がありません。
理解できる英語音声を、延々聞き流すなら、スキマ時間にもできますよね。
そして、「聞き流し」だけでなく、集中してリスニングを行う時間も設けると効果的です。
集中してリスニングを行いつつ、アウトプットのトレーニングを行えるのが以下「シャドーイング」系統のトレーニングです。
シャドーイング系
「シャドーイング系」とは、「シャドーイング」に至る階段である「音読」「シンクロリーディング」「ディクテーション」をまとめて私が勝手にそう呼んでいるだけですが。
シャドーイングって、「シャドーイングを極めて英語ペラペラになった」人が続出するくらい、効果は高そうなんですけど、なにぶん難しいんですよね。
私もシャドーイングは苦手です。
でも独学で英語をマスターするなら、シャドーイングが正解なのかなと思っています。
シャドーイングで英語を極めようと思うなら、スクリプト(書き下し文)付きの英語音声を見つけて、まずはお手本をまねて音読。
音読ができるようになったら、お手本の音声ぴったりに発音するシンクロリーディング。
最後にシャドーイング。
シャドーイングがどうしても無理ならディクテーション。
というのが一つの道筋ではないかなと思います。
アプリ?
最近ちらほら、「英語脳を作るアプリ」が出てきてますよね。
1日数分のお手軽学習で、1ヶ月で英語脳が手に入るとか。
にわかには信じがたいですが、試した人がいたら教えてください(笑)。私にはお高いので無理です(笑)。
オンライン英会話など
一応、独学でも完結するとは思うんですが、第三者に壁打ち相手になってもらうとだいぶ違います。
オンライン英会話なら1ヶ月4,000円ぐらいから英語話者と話すことができるので、「本当に自分の英語は通用するのか」確かめるために利用するとよいでしょう。
馴染みの先生ができたら、「これを話したい」「あれを話したい」というモチベーションで、リーディングなどの学習モチベーションも上がると思います。
また、英語コーチングは、短期間で英語力を爆上がりさせることができるのではないかと、個人的には思うので、「本気で英語を身につけたいけど独学では不安……」という人には、最もおすすめの方法です。
まとめに代えて:私が英語脳を身につけた方法
一応私もまだ、衰えたりとはいえ英語脳を持っていると思います。
というか、和訳するのってめんどくさいんですよね。
日本語ってかなり複雑な言語だと思いますし、英語は世界一シンプルな言語だと個人的には思うので。
「和訳する習慣」って、脱却してしまえばもう戻らないと思います。
私の場合、大学で言語学研究室に配属された時、教科書はほとんど英語で、読み込んでいかないと怒られたりもしたので、涙目になりながら英文を読み続けたことが功を奏した気がします。
この場合「多読+精読」ですね。
イギリス留学時に、それまで育てていた英語脳の芽が一気に開花したというか、いつの間にか和訳して考えるクセはなくなっていて、1ヶ月の留学で完全に「英語を英語で考える」習慣がついたと思っています。
「英語脳を身につける」というと、壮大なプロジェクトのように聞こえますが、英語が言語である以上、誰にでも身につけることができるはずなんですよね。
ただ、日本語と英語は世界で一番「遠い」言語にランク付けされているので、大変なのは大変なんです。でもムリではありません。
頑張れば誰でもできます!応援してます!
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