私は、今でこそ英語を使うのにあまり不自由しない身ですが、中学校後半~高校の頃は、むしろ英語の成績が伸び悩んでいる生徒でした。
大学生になって初めて受けたTOEICのスコアは450点。当時の大学生の平均レベルでした。そのまま成長すれば、順調に「英語の苦手な日本人」になっていたでしょう。
しかし、大学での生活や、気づかないまま育っていた言語力の素地が、私をイングリッシュモンスターにしたのです(笑)。
幼児期に英語教育は受けなかった
幼児英語は意味がない!?
はっきり言って私は、子どもの将来の英語習得のためには、幼児英語教育はほとんど意味がないと思っています。
カナダでは、「フレンチ・イマージョン」といって、英語話者の子どもを幼稚園から高校までフランス語漬けにする教育法がありますが、結局大多数の子どもが、社会人になる頃にはフランス語を忘れてしまうそうです。
子どもは覚えるのが早いですが、忘れるのも早いです。幼児期に少し英語に触れても、おそらくほとんど身につかないでしょう。
幼児期に英語を学ぶよりは、日本語の基礎を固めておいた方が、子どもが成長した時、英語のみならず、外国語習得全般に効果を発揮すると思います。
「絵本の読み聞かせ」が効果的
それでは、幼児期に何をすればいいかと言うと、「絵本の読み聞かせ」が良いと思います。現に私は、寝る前に親に絵本を読み聞かせてもらうのが楽しくて、長じてからは、すっかり読書にハマってしまいました。
小学校から高校にかけては、年間500~600冊の小説を読んでいたと思います。
そのえげつない(笑)読書量が、英語のみならず、外国語を割とあっさり覚えてしまう能力へとつながったのではないかと思います。
実は「正しい発音」も重要
「発音」は、英語学習では軽視されがちですよね。「発音なんてどうでもいいんだ」という先生も多かったのではないでしょうか。
しかし、実を言うと、「発音」は英語学習においてとても重要な要素です。
日本人の英語は通じない
日本人の英語は、世界トップレベルで評判が悪いって知ってましたか?
日本で英語を学んだ中~上級者も、海外に行った時、自分の英語が通じなくて、愕然とすることが多いようです。
日本人の英語を「通じる」ものにするためには、フォニックスを学ぶのがおすすめです。
私も、小学4年生から6年生にかけて、お隣のおばさんが開いている私塾に通って、フォニックスを徹底的に叩き込まれました。
その結果、海外に行っても、自分の発言が通じないということはほとんどありませんでした。
フォニックスとは
フォニックスとは、「スペリング(つづり)」と「発音」の間にある法則性を覚えていく学習法です。
日本の子どもたちがひらがなを「50音」で覚えるように、英語圏の子どもたちは「フォニックス」で英語を学びます。
日本人の英語が通じない原因の一つが、音を母音と子音に分けて認識していないことです。
例えば ”Look at this picture.”という文を見て、日本人は「Rukku」「Atto」……というように、語尾に、本来英語にはない母音をつけて解釈してしまいがちです。
まずは、言語音を母音と子音に分解して認識すること、そしてそれぞれの音を正確に発音することが、「通じる英語」を習得する第一歩です。
なっつるんを変えたのは過酷な大学生活
言語学専攻という環境
私は、大学で「言語学」を専攻しました。
言語学の世界には、「英語なんてできて当たり前だよね」というノリがあります。
そのため、言語学研究室に配属された当初から、教科書はほぼすべて英語になりました。しかも、読み込んでいかないとめちゃくちゃ怒られたりしました。
毎日泣きそうになりながら、洋書を読んでいた記憶があります。
論文執筆もすべて英語で行い、最終的には英語で学会発表もしました。
「英語を覚えないと生きていけなかったから」……というのは大げさですが、「必要性」というのは英語を習得する上でとても大きなモチベーションになります。
ちなみに、言語学研究室は本当に過酷な現場で、私は激しいアカデミックハラスメントに耐えられなくなって、大学院を中退しました。
海外留学でTOEICスコアが飛躍的に上昇
イギリスへの語学留学
私は20歳で生まれて初めて飛行機に乗り、イギリスへ語学留学に行きました。
留学期間はおよそ1か月。
「1か月って、旅行じゃん!」と思われるかもしれませんが、イギリス留学後にTOEICを受験したら、スコアが450点から690点にアップしていたのです。
これは、留学だけの力ではなく、それまでに泣くほどリーディングを重ねてきた背景が大きいと思います。
また、留学中も、日本人と話す機会がほとんどなく、ネット環境もろくに整備されていない時代だったので、毎晩親に泣きながら国際電話をかけて、電話代がひと月で10万円を超えました(笑)。
自分でも、その日あったことを英語で日記に書いたり、ホストファミリーに不明点を質問したり、とにかく英語漬けの生活を心がけたのです。
アメリカ留学
大学院に進学してからは、アメリカに6週間留学しました。語学留学ではなく、ハーバード大学と、マサチューセッツ工科大学が、合同で主催する言語学の夏期講習を受けに行ったのです。
もっとも後半3週間は、生焼けの冷凍ピザに中ったせいだと思うのですが、食中毒でほぼ稼働不能でした(笑)。
それでも英語の授業は半分眠りながらでも聞き取れるようになりました。
そしてアメリカ留学後に、TOEICを遊び感覚で受けたところ、スコアは930点まで上がっていました。
オーストラリア留学は失敗
実は、30歳を過ぎてから、英語力を取り戻したくて、1か月間オーストラリアに語学留学したこともあります。
しかしその時は、寂しさのあまり、現地に来ていた日本人と遊んでばかりいました。
ホストファミリーにも恵まれず、連日のように、私を置いて家族みんなで出かけてしまうような人たちだったので、現地の人と英会話をする機会はほとんど得られませんでした。
そして私自身、イギリス留学での成功体験から、「1か月留学して、語学学校に通えば英語力は伸びる」と思い込んでいました。
その後TOEICを受験したところ、きっちり勉強して臨んでも、スコアは860点でした。
英語に携わる人間としては、高いとも低いとも言い難い、微妙なスコアです。
オーストラリア留学は、完全に失敗でした。
まとめ
私の英語習得過程は少し特殊です。「真似しよう」と思う人はめったにいないでしょう。
ただ、どんな人でもそれぞれの英語習得過程をたどってきています。
同じルートなんて一つもありませんよね。
英語学習でありがちなミスが、「シャドーイングを極めれば英語を話せるようになる」とか、「瞬間英作文をやりこむことで英語はマスターできる」といった言葉をうのみにして、「他人の成功例をそのまま真似する」ことです。
しかし、その学習法を提唱している人と、あなたとでは、「自分に合った学習法」が全く違っているかもしれません。
他人の成功例は「そのまま真似する」するのではなく、エッセンスだけを抽出して自分に当てはめるのが正解です。
私の場合、日本にいる時に徹底的に英語を「読む」経験を積み、イギリス・アメリカでは「話す」・「聞く」能力を磨くと同時に「書く」能力を育てました。
つまり、私の成功例からエッセンスを抽出すると、「四技能すべてをバランスよく伸ばした」といえます。
そして、大学時代は「英語を覚えないとやっていけなかった」という、高いモチベーション(心理学用語でいう「動機づけ」)の下にありました。
「読む」「書く」「聞く」「話す」の四技能を網羅するのは、英語学習において非常に重要です。
そして、「モチベーション」は、英語を学ぶ上で最も重要といっても過言ではありません。
私の例は、あまり参考にならない成功体験かもしれませんが、頭の片隅に置いてもらえれば幸いです。
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